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日本のマンガから得た知見を活かして
ベトナムのマンガ業界を切り開いていきたい

グエン・カイン・ズオン
コミコラ創業者、代表取締役

グエン・カイン・ズオン

マンガ作品『ドラゴンエンペラー/Long Than Tuong』で第9回国際漫画賞(2016年)の優秀賞を受賞したマンガ家のグエン・カイン・ズオンさん。日本のマンガ産業の発展に触発され、ベトナムのマンガ家を支援することで、より多くの読者を惹きつけるベトナムでのマンガ産業の構築を目指している。

『ドラえもん』との出会いから
マンガ家という職業を知る

ジャーナリズム分野に従事する人が多い家庭に生まれたズオンさんは、子どもの頃から文章を書くこと、特にストーリーを作ることが大好きだった。1990年代前半、ベトナムで『ドラえもん』のマンガ本が初めて出版され、ズオンさんは日本のマンガの魅力に惹かれ、マンガ制作について全く新しい視点を持つようになった。

「それまでベトナムのマンガといえば、上にイラスト、下にストーリーをつづった文章というスタイルしかありませんでした。1コマ1コマを絵と文章で仕立てていく日本のマンガの構成や、ストーリー展開の方法など、学ぶべきことがたくさんあったのです。最も影響を受けたマンガ家の1人は、『20世紀少年』や『モンスター』の作者である浦沢直樹さんです」

ベトナムでは日本のマンガが大人気な一方、ベトナム人マンガ家の活躍の場はほとんどない。質の高い日本のマンガが圧倒的に多いため、出版社がベトナムのマンガ作品を受け入れることに消極的なためだ。ズオンさん自身もマンガ家を目指すことはなく、大学で情報工学を専攻し、卒業後はゲーム会社に就職した。

「それでもベトナムのマンガ産業を発展させたいという想いは捨てきれませんでした。2015年には仲間とともにマンガ出版事業を行うコミコラ社を設立しました。日本のようにマンガ産業が発達している国を見て、ベトナム人マンガ家を育て支える土台を作りたいと思ったのです」

日本から得た多くのアドバイスを
ベトナムのマンガ産業育成に

ズオンさんが原作を、友人のグエン・タイン・フォン(Nguyen Thanh Phong)さんが作画を担当し、コミコラ社が出版したデビュー作品『ドラゴン・エンペラー/Long Than Tuong』は、日本の外務省が主催する第9回日本国際漫画賞(2016年)で優秀賞に輝いた。

「マンガ先進国である日本のプロフェッショナルから高い評価を受けられたことは、私の大きな誇りです」
この受賞を機に、NHKが同社を番組で紹介するなど、コミコラ社が出版するベトナムマンガはより多くの読者に知られるようになった。日本のパートナーからもマンガ業界におけるビジネスのあり方について、多くの貴重なアドバイスがあった。

「日本やアメリカのマンガ制作会社から学ぶようにと助言していただきました。具体的にはマンガ本を出版するだけでなく、関連グッズの発売やイベントの開催など、ベトナムマンガのエコシステムを構築することが業界の発展のために大切だと教えていただいたのです」

ベトナム人マンガ家の支援を通じて
ベトナム人に愛される市場を目指す

自分のマンガ作品を作りたいという想いを抱えつつ、まずはベトナム人マンガ家の作品を世に出す支援を優先するズオンさん。

「国際漫画賞のような権威あるコンテストに参加することをマンガ家たちに呼びかけています。国外にもっとベトナムマンガを紹介して、認めてもらうことが大切だからです」

また、2023年にコミコラは日本市場向けのおもちゃ専門工場と協力し、ベトナムのマンガキャラクターをモチーフにしたおもちゃのコレクションを生産する予定。これも、ズオンさんが目指す「ベトナムマンガのエコシステム」をさらに発展させるための活動のひとつだ。

「どのような活動であれ、私の究極の願いは、ベトナム生まれのマンガが国内市場でさらに大きなシェアを獲得し、日本のマンガと同じくらいベトナムの読者に愛されるようになることです」

マンガ家・共同原作者。ベトナムのマンガなどの出版・販売や、ウェブトゥーン読書アプリやベトナム人漫画家向けのクラウドファンディングのプラットフォームの構築などを行うコミコラ(Comicola)を2015年に設立。ベトナム発のマンガの編集・制作や、ベトナム人作家の出版支援を行うことを通して、ベトナムのマンガ界の発展に尽力している。

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