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日越の考え方や労働文化の違いの調整役
日本企業のビジネス環境づくりに貢献したい

ゴー・トゥアン・アン
トランスコスモスベトナム/副社長

ゴー・トゥアン・アン

立命館アジア太平洋大学の経営学部を優秀な成績で卒業後、日本での会社勤めを経てベトナムの日系企業「トランスコスモスベトナム」に入社したアンさん。コールセンターやデジタルマーケティングなどのビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)産業にも精通し、会社からの信頼を得て現在は副社長を務めている。日本の文化と規範をよく理解している強みを活かして、日系企業のビジネスに貢献している。

外国人を歓迎してくれる
温かい日本に出会えてよかった

「高校時代、日本の印象は非常に薄かった」というアンさんは、あるセミナーで立命館大学の奨学金制度を知った。海外へ出るチャンスだと応募して無事に合格したものの、海外留学での生活を知らず地震も恐れていた両親は大反対。冒険好きなアンさんは、それでも日本留学を決行した。

「渡航前に日本語を学ぶ時間は3ヶ月しかありませんでした。授業はすべて英語で行われたので、日本語をできるだけ上達させて日本の生活に早く溶け込むために、和太鼓クラブに入って日本人の友人をたくさん作りました。おかげで日本語だけでなく、努力や勤勉の意味も学ぶことができました」

入部当初は、「ただの趣味の活動なのに、どうしてこんなに厳しい練習をしなきゃいけないんだろう」と、かなり煩わしく感じていた。その思いは、ステージで演奏した時に一掃された。

「観客からの熱い声援は感動的でした。1つひとつの活動や仕事に真剣に取り組むことの大切さを実感しました」
日本自体にあまり関心がなかったアンさんが、日本留学を通して「この国と長く付き合いたい」と思うようになるまで、そう時間はかからなかった。

「日本人はとても親切でした。来日したばかりの頃、道に迷っていると通りがかりの人たちが車で目的地まで連れて行ってくれたことがありました。また、欧米諸国に比べて、日本は外国人の就労を積極的に受け入れています。おかげで、日本が身近に感じられるようになりました」

成績優秀だったアンさんは、文部科学省から奨学金を受け、将来の日越関係の発展に貢献するためにグローバルビジネスリーダー育成プログラムに参加。卒業後は、東京の日本企業に就職したものの、家庭の事情でベトナムへの帰国を余儀なくされた。ホーチミン市の日系企業での勤務を経て2015年に「トランスコスモスベトナム」に入社し、現在は同社の副社長を務めている。

仕事における考え方や進め方
違いを調整する難しさを乗り越える

「トランスコスモスベトナム」では、カスタマーサービスやデジタルマーケティング、テレマーケティングなどの業務委託サービスを専門に提供している。日本に詳しい現地スタッフとして、ベトナムと日本の違いを調整するのがアンさんの役割だ。

「双方の考え方や文化の違いから、問題が生じることがあります。例えば日本側は、すべての計画について事前に慎重に検討し、常に綿密なプロセスに従って仕事を進めます。一方ベトナム側は、仕事は速いもののトラブルが起こりやすい傾向があり、細かな配慮に欠けることもあります。どうすればベトナム側が受け入れやすくなるかを日本側の上司にアドバイスしたり、ベトナム人スタッフに日本の仕事の進め方を研修したりすることで、両者の衝突を避けられるよう努めています」

そのような困難に向き合ってきたことでアンさんは常に会社から信頼をおかれ、自らの可能性を見出し、限界を克服する機会を与えられてきた。

日本企業に不可欠な人材を育成し
ビジネス環境の整備に尽力していきたい

日本で働くという当初の計画は道半ばとなったものの、アンさんは今、ベトナムへの帰国を決めたことに満足している。
「ベトナムで働く方が、自分の価値を高められると感じています。ベトナムと日本の両方の知識を生かし、ベトナムで活動する日系企業の発展に貢献することができるからです」

アンさんは今後、社内だけではなく、日本語や日本の労働文化などに関する研修を社外でも実施する予定だ。
「日系企業がベトナムでビジネスを有利に展開できるかどうかは、日本語能力や日本の労働文化への理解など、ベトナム人材の能力に大きく左右されます。逆に言えば、ベトナム人材が日系企業の基準を満たすことは、日本側がベトナムでのビジネスを検討する上で非常に重要な要素の1つです。ベトナムと日本双方の発展を支える、そのような環境作りに貢献できればと思っています」

2006年の入学から卒業までの4年間、立命館アジア太平洋大学の奨学生として学ぶ。2007年9月から日本学生支援機構の奨学生、2008年9月から卒業までは文部科学省の奨学生としてグローバルリーダー育成プログラムに参加。2015年にホーチミン市の「トランスコスモスベトナム」に入社し、現在は副社長として活躍している。

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