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日本人が海外で挑戦する
その価値を胸に世界を目指す

森 大樹(もり たいき)
キャピチー代表取締役CEO

森 大樹(もり たいき)

自宅や職場に居ながらにして多彩な食事を手軽に楽しめると人気上昇中のデリバリーサービス。中でも森大樹さんが大学在学中に立ち上げた「キャピチー/Capichi」は、厳選された加盟店と良質のサービスで、人々の日々の食卓を支えている。

ベトナムで出会ったチャンス
出前アプリが一躍評判に

森さんがタイ、ラオスなど東南アジアを周遊し、ベトナムを初めて訪れたのは2016年のこと。当時のアルバイト先にベトナム人の友人がいたこともあり、もっとベトナムを知りたいと帰国後すぐに滞在の道を探った。ハノイにあるIT企業の募集を見つけ、インターンとして渡越。仕事を続けるうちに現地での生活が気に入り、2019年にまずは日本で、その後ベトナムに子会社を立ち上げた。

「当時のベトナムにはサービスを含めて足りないものがたくさんあって、チャンスを感じたんです。日本で使われているシステムはベトナムで開発されたものも多く、この国のエンジニアはスキルが高い。それでいてIT関連での起業コストが低いことも後押しとなりました」

そんな折、ベトナムにコロナの猛威が吹き荒れた。飲食店の休業が相次ぎデリバリーの需要が急増するも、既存の宅配アプリに親しみのない利用者や、デリバリーサービスに不慣れな飲食店の間でミスやトラブルが多発した。そこで、何かできることはないかと、ウェブ上で簡単に受発注が行える「キャピチー」をわずか3日間で開発し立ち上げた。

「コロナ禍を機に、在住日本人への認知度が一気に高まりました。現在の登録件数は約1100店舗。ハノイ、ホーチミン市、ダナン、ビンズオン省の4地域でサービスを提供しています」

とはいえ、宅配ドライバーのマナーなど当初は課題も多かった。

「保温容器を持っていなかったり、接客態度が悪かったり。ドライバーは地場の提携会社から派遣されるのですが、それらの企業と良い関係を築くことで、改善のお願いにも真摯に取り組んでもらえ、助けられました」

ベトナムから教えられた
自国との新たな向き合い方

実は根っからの日本好きで、海外へは旅行で行けば十分と以前は考えていた。しかし、ベトナムの人々や社会の多様性に触れ、「なぜ日本では画一的な人が多いのだろう」と違和感を持った。そこで自身も殻を破りたいと起業に至ったが、今では更なる思いもあるという。

「日本では生活の中でインターネットやSNSなど多くの海外サービスを利用しています。しかし、それらは日本発のものではないため、自国の発展や利益を損ねることにも繋がりかねません。一方、日本人が海外で活躍すれば、逆に日本を盛り上げることもできる。だからこそ、日本人がベトナムで挑戦すること自体に価値があると今は感じています」

自身が海外で輝くことで、それを後に続く若者の道標になれば嬉しいと話す。ベトナムへの貢献はもちろん、世界における日本の存在感の向上にも役立てればと願う。

ベトナムから世界へ
日本を離れて見えた未来

ポイント制を導入し利用すればするほど得になるなど、リピーターを大切にする姿勢から好評を得ている「キャピチー」。当初は現地日本人社会の中で人気を博したサービスだったが、今では在住外国人やベトナム人利用者の数も増えてきた。ベトナムはビジネスにおける環境も良く、今後も更に日越の交流が増えればと話す。

「政府間の取り決めや、進出済みの企業によるスタートアップ支援などもあれば良いと思いますが、それよりもまず自分でできることが多くあります。小さな事業でも、日本では難しい大企業との提携ができるかもしれない。アイデアとやる気があれば、様々な可能性が広がっているんです」

日本好きの学生だった彼のライフプランに現在、日本へ早々に帰国する計画はない。その視線の先にあるのは、ベトナムを含むアジア、そして世界全体だ。

「ベトナムを起点にアジアへ、そして世界へ。可能性に満ちたベトナムからだからこそ、できると信じているんです」

1997年奈良県生まれ。学生時代からボランティア団体の運営や、IT企業でのマーケティングなどに携わる。大学を休学し、201710月にベトナムでのインターンシップを開始。2019年より「キャピチー」を設立、代表取締役CEOを務める。

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