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日本とベトナムを文化を通して
つなぐことが自分の使命

マイ・ホアイ・ジャン
ラロマ社創業者、代表取締役

マイ・ホアイ・ジャン

フエから銀座通りにベトナムの人力三輪車シクロを持ち込み、2023年9月にはフエ王宮で日本マンガ祭を開催するマイ・ホアイ・ジャンさん。フエ女性として伝統文化を守るだけでなく、日本とベトナムを文化でつなぐことに注力する。

故郷への郷愁から、
フエのシクロを銀座の街に

ベトナム中部の古都フエで生まれ育ったジャンさんは、日本語教師だった母親の影響で日本文化に親しんできた。ベトナム外交学院1年生のとき、奨学金を得て立命館アジア太平洋大学の国際関係学部へ留学したことが、日本と深く関わる出発点となった。

「当初、大学を卒業したらベトナムに帰るつもりでした。しかし、内閣直属の教育再生懇談会で留学生としてスピーチを行ったことが転機となり、考えが変わりました。留学生活の次のステージとして、日本での仕事を選んだのです」

勤めた日本企業では、マーケットマネジャーとしてベトナムの企業と接する機会が多かった。仕事を通して祖国への想いが強くなる中で、「フエやベトナムのために何かしたい」という思いが湧いてくる。2017年には日本とベトナムの文化をつなぐプロジェクトを核にラロマ社を設立した。

「最初に実施したプロジェクトは、銀座通りでフエのシクロに乗る体験を日本人に提供する『シクロリムジン』です。幼い頃によく祖母と一緒にシクロで市場へ行ったものでしたが、現在ではこの文化が徐々に存在感を失いつつあります。シクロの美しさを残したいという思いから、このプロジェクトに乗り出しました」
現在は、フエの手工芸品を日本に広めるプロジェクト「フエ匠」を準備している。

ベトナム人でありながら

日本は自分の一部

20年近く日本で暮らし、働いてきたジャンさんは、家庭と仕事を両方していくために多くの困難に直面した。
「大変な思いをするたびに周りの多くの日本人に助けられ、乗り越えてきました」

上司や同僚、友人たちが厳しいながらも非常に熱心で、多くの貴重な教えを与えてくれたと話す。

「シクロリムジンでは、車体の輸入からシクロの免許申請、無料試運転まで多くの難しいプロセスを経て、1年以上をかけて最初のお客さんを獲得しました。フエのシクロ文化の保存と普及に尽力したいという思いに加え、自分の一部となっている日本の精神のおかげで、どんな困難にも耐えられたのかもしれません。私自身はフエの女性ですが、考え方や仕事の進め方の9割は日本の影響を受けています」

フエのマンガフェスティバルなど
日越文化交流事業を推進

ジャンさんにとって「日本は第二の故郷のようなもの」で、日本ならではの文化にも多くの愛着がある。ベトナムと日本の関係において、文化の保存と発展のために互いに支え合うことこそ、ジャンさんが目指す「文化を通した日越関係」だ。

「ベトナムではマンガをはじめとする日本の文化を、もっと広く紹介したいと思っています」

日越外交関係樹立50周年に向けて、MHラロマ社はフエ市と協力し、マンガ家発掘コンテストや両国の文化分野でのビジネス交流などを含む「フエマンガ祭2023」を2023年9月に開催する予定だ。

「これまでのようにベトナムで日本のマンガを出版するだけでなく、ベトナムでのマンガ家育成や日本でのベトナム人のマンガ出版など、より踏み込んだ活動も目指しています」

 フエ生まれ。2008年に立命館アジア太平洋大学国際関係学部卒業。
株式会社ファーストリテイリング、株式会社アタゴでの勤務を経て、2017年にラロマ(RAROMA)株式会社を設立。
「シクロリムジン」プロジェクト第一弾を始動した。

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