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信頼性の高いメディアを通して
在日ベトナム人のイメージアップを図りたい

ドー・ティ・ミン・フオン
ベトナム国営テレビの
日本支局レポーター
「ホントティーヴィー」創立者

ドー・ティ・ミン・フオン

ベトナム国営テレビ(VTV)の日本語番組で編集者・アナウンサーを務めるドー・ティ・ミン・フオンさん(活動名メイ・フオン/Mei Phuong)は日本に移住後、メディア分野への情熱と豊富な実務経験を活かして、在日ベトナム人向けメディア「ホントティーヴィー」を立ち上げた。日本でのメディア活動について話を聞いた。

VTVの日本語番組を担当
その経験を日本での暮らしで生かす

2013年の日越外交関係樹立40周年の折、ベトナム国営テレビ(VTV)は日本語番組『ジャパンリンク/Japan Link』の放映を開始した。そこで編集者・アナウンサーとして採用されたのが、ハノイ大学の日本語学部を卒業したばかりのフオンさんだ。ハノイとその周辺に暮らす日本人100人ほどに取材をするなど4年ほど実務経験を積んだ後、2017年に家族とともに日本に移住。日本で暮らすうち、あることに気づく。

「当時日本でベトナム人が発信するSNSの情報の多くはエンタメ関連が中心でした、さらにネガティブな内容や信頼性が疑わしい情報が非常に多かった印象です。日本で生活するベトナム人は信頼に値する生活情報などを手に入れづらく、そんな状況に困惑していました」

この状況が、メディア業界出身のフオンさんの心に火をつけた。
「VTV 出身の編集者・アナウンサーとしての実務経験と日本語の知識が私の強み。ベトナム人向けメディアの状況を改善するために何かしなければならないと思いました」

日本のメディア企業での勤務を経て、フオンさんは2021年にVTVの日本支局レポーターとして復職。また1年がかりでアンケート調査などの準備を進め、さらに在日ベトナム大使館からメディア業界の日本人の紹介を受けるなどの支援を受けて、在日ベトナム人のための総合情報チャンネル「ホントティーヴィー/HONTO TV」を設立した。

「信頼性の高い情報を提供することで、両国の人々を繋いでいきたい思いがあります。日本では在日ベトナム人による犯罪になどのネガティブな情報がすぐに報道され、ベトナム人と接する機会が少ない日本人はこういった情報を目にすることで、ベトナムに対して悪い印象を持っています。ネガティブな情報は拡散されやすい一方、ポジティブな情報はほとんど報道されません。ベトナムの良いところを日本人に伝えることも私たちの使命です」

「ホントティーヴィー」の立ち上げでは、資金調達や人材採用、運営方針の模索など多くの苦労を重ねたというフオンさん。助けてくれたのは、VTVの仕事を通して出会った多くの日本人だった。

「ある日本のテレビ局のアナウンサーは、私の日本語の発音を直したり、日本の番組の司会のやり方を具体的に教えてくれたりと支えてくださって、とても心強く思いました」

自分の一部となった日本
良い面をベトナム人に伝えたい

メディア出身とあって、フオンさんは常に客観的な「事実」を意識しながら日本を感じている。日々、日本の長所も短所も目にする中で、日本の文化やマナーなど、ポジティブでおもしろいことをベトナム人に伝えることに注力したいと話す。

「日本に住んでいるベトナム人が日本の素晴らしい面を知り学ぶことで、彼らが常に前向きな気持ちで暮らし、違法なことに手を出さないようになると信じています」

「日本人より日本らしい」とよく言われると話すフオンさん。日本に暮らすベトナム人としてそういった努力をする背景には、日本への感謝の気持ちがある。

「私が好きな仕事を見つけられたのは、日本語を学んだおかげです。仕事や生活を通して、いつの間にか日本のエッセンスのようなものが自分の性格や考え方、行動、もしかしたら顔にまで(笑)すっかり浸透していると感じます」

日越の一人ひとりの努力で
よりリアルな関係構築を

メディアとして良質な情報の発信に努めるフオンさんは、日越関係がより身近なものになることを望んでいる。

「外交において日本とベトナムは長い間良好な関係を保っている一方で、多くの日本人はベトナムを名前でしか知りません。日本の基本知識が不足しているベトナム人も多いです。マクロ的な側面だけでなく、ベトナムと日本それぞれの個人がお互いの文化や性格などを真に理解できるようになることを望んでいます」

そのためには、双方のメディアだけでなく、日本に来たことのあるベトナム人や、ベトナムに行ったことのある日本人など、草の根レベルでそれぞれが情報を発信することが大切だと考える。

「日越外交関係樹立50周年は、両国にとってより実りのある関係を築いていくために、労働制度の改善や入国審査の緩和などを行う非常に良い機会だと思います」

ハノイ大学日本語学部を卒業。2013年からベトナム国営テレビ(VTV)の日本語番組『ジャパンリンク』で編集・アナウンサーを担当し、2021年から同局の日本支局レポーターを務める。同年にベトナム・日本総合情報チャンネル「ホントティーヴィー/HONTO TV」を設立、在日ベトナム人向けに記事、動画、ルポルタージュなどを通して情報を発信している。

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