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日本人の温かい心に感動
日系企業に献身的に貢献していきたい

ヴー・レ・ニャン
Sumitomo Heavy Industries (Vietnam) Co.,Ltd /生産技術部長代理・機械エンジニア

ヴー・レ・ニャン

機械エンジニアのヴー・レ・ニャンさんはSumitomo Heavy Industries (Vietnam) Co.,Ltdのハノイ・タンロン工業団地の拠点で12年間ほど勤めており、会社に深い愛着をもっている。同社で積み上げてきた経験が、今の自分へと成長させてくれたからだ。大変だったという日本での仕事や生活において自分を助けてくれた日本人について語った。

慣れない日本での生活を
支えてくれた日本人たち

2010年代にベトナムは海外直接投資を奨励し、日本からの投資を歓迎していた中、ニャンさんの故郷ダナンには日系企業が少なかった。進学したダナン工科大学では、日系企業がスポンサーした機械テストを行う研究室で日本製の機械を使ったことがあり、日系企業の就職フェアにも参加したことで、日系企業で働きたい気持ちが募っていった。

機械工学部の卒業後は日系企業で働く機会を求めるため、ダナンを離れてハノイへ行くことを決意。Sumitomo Heavy Industries (Vietnam) Co.,Ltdに入社する機会を得た。

「入社から2年後、研修のために愛知県大府市の住友重機械工業PTC事業部名古屋工場に2年間派遣されました。日本に来て最初の2ヶ月は生活に慣れることができず、とても大変でした。日本人の話すスピードが速すぎて何を言っているのか理解できず、職場では初めて知る日本の技術の習得もままなりませんでした。そんな時、同僚や日本語教室の先生たちが助けてくださったのです」

日本人の同僚はニャンさんが分かるようにゆっくりと話しながら、ねじ回しの使い方などの小さなことから丁寧に教えてくれた。少しずつ仕事や生活に慣れてきた矢先、扁桃腺の摘出手術で入院することになった。

「入院中は妻がベトナムから来てくれましたが、入院の手続きの多さや自分の運の悪さから、かなり落ち込みました。手術後はほとんど何も食べられなくなっていた時、日本人の同僚がお見舞いに来てくれました。とてもやさしく私の具合を尋ね、ゆっくり休むように励ましてくれながら、すりおろしたリンゴを差し入れてくれました。とても嬉しくて、忘れられない思い出です」

日本の暮らしに馴染もうと決めたニャンさんは、簡単な会話しかできなかった日本語をしっかり学ぼうと、大府市役所が主催する外国人向けの無料日本語教室に参加した。

「先生は70代のやさしいおじいさんや若い大学生で、すっかり意気投合して、今でも連絡を取っています。このような日本人の方たちに出会えたことにとても感謝するとともに、会社にもたくさん貢献していきたいと思えるようになりました」

会社の開発のために
身に付けた技術を改善

「日本に来て6ヶ月ほど経ったとき、PTC事業部開発部で主要商品のモデルチェンジ開発が始まりました。製品を迅速に量産するために、設計、製造、実験、評価などすべての工程を迅速に進める必要がありました。非常に緊張感がある刺激的な職場の雰囲気を体験できたことは幸運でした」

ある時、実験中に製品エラーが発生し、そこで日本人の対応の仕方も目の当たりにした。
「日本人の専門家たちは、誰かに強要されたり文句を言われたりしたわけはないのに、深夜まで自主的に残業して対応にあたりました。日本人の高い自制心にあこがれている私たちベトナム人エンジニアも協力しました。チーム全員で話し合い、選択肢を考え出し、問題の解決までに互いに協力したことで、プロジェクトは予定通りに完了したのです」

多くの経験を積んだ研修を終えてベトナムに戻ったニャンさんは懸命に働き、現在は生産技術部に所属している。ロボット工学や自動化を専門とするニャンさんは、日本で学んだ技術や知識をベトナム工場に取り入れるだけでなく、同僚たちと一緒に技術改善にも取り組んでいる。

「製造業のオートメーション化やデータ化・コンピュータ化を目指す『インダストリー4.0』の時代には、生産工程の自動化の改善が必要です。現場では人工知能(AI)についての知識を身につけながら、自動品質検査機に生かせる情報処理ソフトなどの開発を手掛けています」

日越の食文化が共存するベトナムに
技術移転と技術者の成長で貢献を

ベトナムでは日本料理店や日本食品を扱うスーパーが続々と登場していて嬉しいと話すニャンさん。

「私はダナン出身で、ホイアン名物の米麺料理カオラウ(Cao Lầu)を幼い頃からよく食べ育ちました。日本でうどんを初めて食べたとき、風味がカオラウによく似ていて驚いたものです。ベトナムと日本には、料理をはじめ、歴史、文化など多くの共通点があり、深い関係性があると思います」

製造業の技術者としては、日越の技術移転がより一層進むことを願っている。

「日本とベトナム間の技術移転がますます進み、成果につながることを望んでいます。日本で働くベトナム人技術者が日本の技術と知識を学び続けることで、ベトナムの発展に貢献していってほしいですね」

ダナン工科大学機械工学部卒業。2011年10月にSumitomo Heavy Industries (Vietnam) Co.,Ltdのハノイのタンロン工業団地拠点に入社し、2014~2016年には愛知県の住友重機械工業PTC事業部名古屋工場で勤務。ベトナム帰国後は工場の機械自動化に関するソフト開発を手掛け、生産技術部で部長代理を務めている。

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