ライブストック/
プロジェクトコーディネーター
グエン・フォーン・ニー
幼いころから日本との縁が始まったグエン・フォーン・ニーさんは、日本政府の奨学生となり、2019年の大学卒業後は総合商社の双日に入社。一貫してベトナムにおける農業関連の事業投資に関わりながら、ベトナムと日本の共通点と相違点を身をもって学び、現在は両国の合同事業においてベトナム人と日本人の相互理解を促しながらプロジェクト全体をコーディネートしている。
Japanese
幼いころから日本との縁が始まったグエン・フォーン・ニーさんは、日本政府の奨学生となり、2019年の大学卒業後は総合商社の双日に入社。一貫してベトナムにおける農業関連の事業投資に関わりながら、ベトナムと日本の共通点と相違点を身をもって学び、現在は両国の合同事業においてベトナム人と日本人の相互理解を促しながらプロジェクト全体をコーディネートしている。
幼少期を過ごした日本に戻り
学業とコミュニティ活動にいそしんだ学生生活
農業研究者である父親が茨城・つくば市で働くことになり、ニーさんは小学3年生から4年生にかけて日本で生活した。ベトナムに戻った後も、日本の友人たちと過ごした日々は忘れ難い思い出となった。
「いつか日本に戻って幼馴染と再会したい、その時は流暢な日本語で喋りたいという一心で、当時ハノイで日本語教育に力を入れていた外国語大学付属高校に入り、卒業後は日本へ留学する夢をずっと抱いていました。幸運なことに2014年に奨学金を取得でき、日本との縁が再び繋がりました」
日本では一橋大学商学部に入学。学業と並行して、ニーさんは在日ベトナム青年学生協会(VYSA)にも積極的に参加し、3年目には同協会の会長に就任した。
「私にとって本当に一生に残る思い出でした。VYSAは母国を離れて日本に来たベトナム人同士をつなぎ、困難な時にお互いを支え、海外生活での喜びや悲しみを分かち合えるコミュニティを作るのが使命です。学生をはじめとする在日ベトナム人の生活を全面的に支援することで、みんなが日本での暮らしをより楽しめ、より日本を好きになることに何よりも幸せを感じました」
ニーさんの一番の思い出は、ベトナム人学生と日本企業をつなぐ就職フェアだ。
「VYSAが主催する就職フェアは、数えきれないほどの日本人の方々から支援していただきました。イベント会場を安価で貸してくれたり、ベトナム人スタッフを必要としている日本企業に参加を呼びかけてくれたり、ベトナム人学生の多い大学にイベントの告知をしてくれたりしました。おかげでフェアは成功し、ベトナム人学生と日本企業をつないだことで、間接的に両国の架け橋となる人材を増やせたかと思います(笑)」
日本人の温かい心はベトナム人と共通
無条件で助けてくれる
日本で生活する中、ニーさんは悩み相談にのって助けてくれる多くの日本人に出会えた。その中には特別な出会いもあった。
「留学中はJAYAランゲージセンターでベトナム語を教えていたのですが、その中にいた書道家の女性から、個別にベトナム語を教えに来てほしいと頼まれたんです。彼女はベトナム人の手先の器用さに感銘を受け、ベトナム独特の生地や柄を使って衣装をオーダーメイドするのが大好きで、ベトナム語を習いたいと思うようになったそうです。お互いに日本文化やベトナム語を教えて学ぶという単純な関係から、会う回数を重ねていけばいくほど、いつしか彼女は私の心の支えとなり、卒業式も親代わりに来てくれるぐらい私にとってお母さんのような存在となりました」
ニーさんが日本での生活で受けた数えきれないほどの恩義は、次は自分が一人でも多くの人のために何かをするという想いの原動力のひとつとなっている。
双日とビナミルクの合弁事業に日々尽力
ベトナムの人々が望む牛肉製品を届けるために
就職活動の時期、ニーさんは自分が本当にやりたいことは何なのか、自分にふさわしい場所はどこなのかをじっくりと考えた。
「できるだけ多くの人に貢献したい、人々の生活をより良くしたいと思ったんです。故郷のベトナムを含む新興国に事業投資を行う双日という日本の会社で働くことを決めました。」
ニーさんは現在、双日とビナミルク社の合同事業であるベトナム国産チルド牛肉プロジェクトの立ち上げに日々奮闘している。
「ベトナムは経済成長に伴い、タンパク質が高い牛肉の消費量が年々伸びている一方で、供給源は主に輸入牛肉に依存しています。今取り掛かっている事業では、日本の技術とベトナムの自然環境を融合したプログラムで、ベトナム国内で生まれた牛を育て、管理を徹底した工場で加工し、安心安全で高品質、かつ多忙な現代人の生活に適した使いやすくてバラエティに富んだ牛肉製品をベトナム消費者に提供することを目指しています。仲間と全力で走りながら、一刻も早くベトナム人に美味しい牛肉を届けられるよう日々努めています」
2014年から日本文部科学省の奨学生として東京外国語大学、次いで一橋大学商学部へ進学。学生時代は、在日ベトナム学生青年協会(VYSA)の会長やさくら親善大使を務めた。卒業後は2019年に双日株式会社に入社し、現在は本社からの海外駐在員として、双日とベトナムのビナミルク社による合弁会社「ジャパンベトナムライブストック/Japan Vietnam Livestock」社に出向し、ベトナムでの肉牛肥育・牛肉生産加工・販売の一気通貫事業の立ち上げに携わる。 |
画家
VTV4日本語番組編集者・アナウンサー
ブロガー/「ベトナムリアルガイド」運営