代表取締役
小薗 一也(こぞの かずや)
企業が海外へ進出する際、心強い味方となるコンサルティング会社。商習慣や法制度など現地事情に精通し、時にはビジネスパートナーになることもある。ベトナムの地で日系企業の進出支援を行う「キバル・サポート・ベトナム/KIBARU SUPPORT VIETNAM(KSV)」の小薗一也さん。現地調査から事業展開の実行支援、雇用代行まで、幅広い内容で日越ビジネスの架け橋となる彼にベトナムへの想いを訊ねた。
Japanese
企業が海外へ進出する際、心強い味方となるコンサルティング会社。商習慣や法制度など現地事情に精通し、時にはビジネスパートナーになることもある。ベトナムの地で日系企業の進出支援を行う「キバル・サポート・ベトナム/KIBARU SUPPORT VIETNAM(KSV)」の小薗一也さん。現地調査から事業展開の実行支援、雇用代行まで、幅広い内容で日越ビジネスの架け橋となる彼にベトナムへの想いを訊ねた。
リーマンショックを機にベトナムへ
才能溢れる豊かな人材に驚き
大学時代にアシスタントとしてコンサルティング会社で働いていた小薗さん。海外で不動産投資事業を始めることとなり、市場調査先に選ばれたのがベトナムとの出会いだった。ベトナムについて調べるうちに興味が湧いた彼は、ベトナムとカンボジアを周遊、その活気に魅せられた。
「卒業後は日本の投資会社に就職したのですが、リーマンショックの真っ只中で…。長引く不況を前に、若いうちにこれから成長する勢いのある国で働いてみたいと思い会社を退職。活気に沸くベトナムを拠点にすることにしました」
ベトナムへ移り住んだのは2010年のこと。経験を生かし日系コンサルティング会社に就職した。その後、内装・家具会社へ転職し、業種は違えども現地で事業を行う企業や投資家へサービスを提供することに楽しみを覚えた。そこで、自身でも何かできることがあるはずとの思いから独立。2019年にKSVを立ち上げた。
「弊社は法人の設立支援だけでなく、事業計画の策定からプロジェクトマネジメントの実行支援もします。また、企業の信用調査や代理雇用も行い、本格的な進出を行う前段階のサポートも提供しています。特に信用調査は財務情報だけでなく、反社か否かなどのリスク情報を調べることも多くあります」
現地に信頼できる信用調査会社は少なく、開示されている情報自体も乏しい。そもそも反社の定義もない。そこで自社で調査を行うことにしたが、商習慣や考え方の違うスタッフへの教育に、当初は苦心した。また、代理雇用ではベトナム法人を設立していないクライアントに代わり、クライアントのスタッフを代理で雇用し事業の立ち上げや運営の支援を行う。IT、設計、営業、投資、製造など多種多様な業種を扱うため、バラエティ溢れる各人材への対応力も求められた。
「業種や職種、年齢、地域などが異なると、これまでの生き方が違うし考え方も異なります。しかし、ベトナムには日本では簡単には探せないような優秀な人材も多いんです。仕事ができる上に語学も堪能など、ベトナムがもつ人材の豊富さにはいつも驚かされますね」
慎重な性格から一念発起し起業
現地の日本人やベトナム人が勇気をくれた
豊富なビジネスアイデアをもち、独立して海外で事業を立ち上げるなどアグレッシブな人物に思えるが、小薗さんは元来かなり慎重な性格という。
「日本にいる頃は条件がきちんと整わなければ、決めきれないことが多くありました。しかし、いざベトナムに住んでみると、現地には独立し事業を営む日本の方々も多い。ベトナム人も同様で、いきなりカフェを始めたりと逞しい人が大勢います。失敗してもすぐに立ち直り、方向転換も早い。そんな人たちと接することで、起業する勇気をもらった気がします」
また、ベトナムでビジネスをしていると、日本では希有なチャンスが訪れることもある。
「現地日系社会が密なこともあるのか、各分野で名の知れた企業と関わりを持てることも多くあります。たとえ東京で仕事をしていても、なかなかそんな機会に巡り会うことは少ない。起業したての会社でも、真摯に頑張れば、それらの企業とお付き合いできるチャンスがこの国にはあるんです」
生産国からパートナーへ
互いに補完・共創しあえる関係構築を目指して
コロナ禍が明け、近年は再びベトナムに興味を持つ日系企業が増えている。生産委託からエンジニアなどの人材確保、ベトナム市場への参入と、その事業や目的は様々だ。
「私にできることは、ベトナムで事業展開する際のサポート。日越の企業が抱える問題点を解決する一助になればと思っています。弊社で代理雇用をしていたクライアントが、事業を軌道に乗せて晴れて現地法人を設立する事例もある。私のポジションは独立や成功までの橋渡し。最終的に弊社が必要なくなるようなサポートをすることが理想なんです」
人件費や製造単価の高騰から、単なる生産拠点としてのベトナム進出は年々厳しさを増している。しかし、商品やサービスに高い付加価値をつけられる会社にとっては、依然伸び代があると話す。
「ベトナムは優秀で日本や日系企業への理解が深い人材も多く、長期的に大切なパートナーになれる国だと思っています。消費市場や不動産分野もまだこれから。その中で互いに良い部分を伸ばし、足りない部分は補完しあう、そんな協力関係構築のお手伝いを今後も続けていけると嬉しいですね」
1985年鹿児島県生まれ。大学卒業後、投資会社で企業調査やM&A、事業再生、不動産投資業務に従事。2010年に渡越し、コンサルティング会社、内装・家具会社での勤務を経て独立。2019年に「キバル・サポート・ベトナム/KIBARU SUPPORT VIETNAM(KSV)」を設立し、企業の事業展開支援や市場・信用調査など各種ビジネスサポートを提供している。 |
画家
VTV4日本語番組編集者・アナウンサー
ブロガー/「ベトナムリアルガイド」運営